中小企業診断士の知名度から言えること

 中小企業診断士の知名度は、低いと感じます。実際に本業で中小企業診断士として活動されている方々の場合は、業務を診断士に依頼する金融機関・支援機関や企業側も、診断士という資格をある程度認知されているケースが多いので、あまり資格の知名度の低さを課題だと感じることは少ないのかもしれません。むしろ知名度の低さを課題だと実感しやすいのは、この資格をステータスとして活用しようとした場合だと思います。知名度にとらわれず、視覚そのものを通じて得られる知識や経験を重視するのであれば、あまり気にならない課題ではありますが、私が当初そうであったように、ステータスとしての価値だけを求めて資格を取得をしようとした場合は、投資する時間やエネルギーを考えると、あまり費用対効果が高い資格ではないというのが正直な感想です。
 
 また、業界によっても、この資格の知名度は大きく異なります。例えば、一般的に銀行や信用金庫などの金融機関に勤務されている方々の間では、中小企業診断士資格の取得が業務にも直結しやすいという背景から、資格取得を推奨されるケースも多いので知名度が高いのですが、技術や研究開発の分野においては、金融の分野ほどの知名度も無く、当然ながら関心を持っている方々と出会う確率は非常に低くなります。
 
 
海外に出て気付いた、知名度重視の資格取得リスク
 海外出張や海外赴任を通じて、この資格との向き合い方や、これから先どうやってこの資格を活かしていけばいいのかという点について、何度か考えることがありました。日本の国内でさえ前述のように非常に低い知名度の資格ですが、さらにそれが海外となるとその知名度はほぼゼロであると言っていいほど、ステータスとしての価値はありません。また、資格の成り立ちや国家資格でありながらも独占業務が無いという少し複雑な資格の特性を、海外の方々に対して誤解を与えずに伝えるのは非常に難しいことです。例えば、「MBAのようなものです」という説明も適切ではありませんし、資格名称を正しく言えたとしても、それだけではとても説明が不十分です。USCPA(米国公認会計士・米国内ではCPAと呼ばれます)や、MBAといったビジネス関連の資格やステータスの方が、はるかにステータスとして機能します。
 
 こういった状況に海外で直面すると、どこか資格を取得するために費やした時間や努力を無駄にしたような感覚にとらわれたりもするのですが、ポジティブにとらえると、形式的で実態が無い知名度という概念にとらわれず、この資格の本当の価値について考える機会を持てることになります。また、資格を持つということは、その分野に足を踏み入れる上での入場券にすぎず、その分野で活躍する為には、診断士やコンサルティングの実務経験を地道に積み続けることが必要だと改めて認識しました。
 
 この経験から言えることは、「中小企業診断士という資格を転職や差別化のステータスとして意識しすぎると、ステータスとして機能しない現実に直面した際に価値を見いだせないリスクがある」ということです。手段が目的化してしまうという状況に近く、この資格が持つ有意義な部分すら見失ってしまう恐れがあります。
 
 
残り続けるものは何か?
 あれだけ繰り返し答案練習をして得た膨大な量の1次試験の個々の詳細な知識は、残念ながら時間とともに徐々に確実に失われていきます。二次試験で身に着けた読解力や回答のスピードに関しても同様です。しかしながら、資格取得から登録までのプロセスを得て数年が経過しても残り続け、さらに深まるものもあります。知識を格納したIndexや必要な情報にたどり着く際に機能する思考プロセスや情報の検索能力、人脈といったものです。

 当然ながら、試験の知識もスピードも、失われないように定期的に復習をすることである程度の水準をキープすることは可能ですし、思考プロセスも人脈も知識と同じようにある程度の頻度でしっかりとメンテナンスを行わなければ衰えていく可能性は高いです。ここに述べたことは主観ですが、ステータスでも知識でもない部分でこの資格の意義を支えているものとしては、おそらくこういったスキルや資格をきっかけとした人脈というものに何かヒントがあるのではないかと考えています。

 

   知名度が低いことを理解した上で、それでも取得する目的は何かを考えることは、長くこの資格と付き合いながら、活用していくためには必要なプロセスだと考えています。

 

 

 

 

 

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