コロナ禍にこそ中小企業診断士の実質独占業務を(後編)

前編・後編の二回の投稿に分けて「コロナ禍」x「中小企業」x「中小企業診断士」の組み合わせから見えてくる、中小企業診断士の役割について考察をしています。

前編では「コロナ禍」「中小企業」の視点に基づいて整理した結論として、「コロナ禍にみまわれている中小企業にとっては、1. スピード感のある対策・支援を行うこと、かつ、2. ITリテラシーの不足を補う支援が効果的であること」をポイントとして示しました。後編ではあと一つの要素である「中小企業診断士」の現状と課題に触れ、最終的には3つの要素から見えてくる提案(実務補習風に言えば”提言”)をまとめてみます。

中小企業診断士:「中小企業診断士には独占業務が無い」という課題

「中小企業診断士には独占業務が無い」。この資格について調べると必ず出てくる情報ですが、中小企業支援法という法律で正式に国家資格として規定されているにも関わらず、実際に独占業務はありません。この状況は、専門家の登録制度を運営しておきながら、その専門家への具体的な委託業務を示さない、国並びに経済産業省が改善をしなければならない問題点だと考えています。

あえて問題点と記載した理由は大きく二つあります。

一つ目は、中小企業診断士の資格取得後に独立を志しても、独立後の収益のベースとなる業務に関して国による後ろ盾が全く無い為、独立のハードルが高く、結果として独立診断士が増えないこと。このことはさらに、診断士資格保有者が増えても、本来の目的である中小企業の支援が進まないことを意味します。

二つ目は、独占業務が無い事で、”登録済みの中小企業診断士”と、”支援が欲しい中小企業”との間のマッチングが起こりにくいことです。約27,000人とされる診断士登録者の中小企業支援に向ける熱意やエネルギーはかなりの規模であり、仮に小さな独占業務を本業もしくは副業として持つことができれば、国全体として大きくかつ実効的な中小企業支援の機会が生じます。

中小企業診断士資格が抱える課題と解決の糸口

  • 中小企業診断士資格には独占業務が無く、このことが中小企業支援の機会損失に繋がっている
  • この診断士資格の課題を解決するには国・経済産業省による診断士への独占業務の規定が不可欠
  • 診断士の独占業務の規定により、診断士登録者による実効的な中小企業支援を推進することが可能

実務補習や実際に独立された方々との会話から見えてくる「中小企業診断士」像の一つとして、非常に純粋に中小企業の力になりたい、さらにはそのことが日本全体の経済の活性化に繋がればよいと真剣に考えている方が多いと感じています。こういった献身的でビジョンのある資格登録者の熱意こそ、コロナ禍のような状況下で活用されなければなりません。

ここからは、「コロナ禍」・「中小企業」・「中小企業診断士」のそれぞれの要素の特徴を踏まえた一つの提案を示してみたいと思います。

提案:中小企業支援を目的としたオンライン申請代行を診断士の実質独占業務化

3つの要素を踏まえて、今回提案しているスキームにポイントを添えて示した図が以下の図です。

対象として想定しているのは、経済産業省が主幹する補助金・給付金(他の士業の独占業務との関連もあるので、その部分こそ経産省の交通整理は必要だと思います)であり、中小企業診断士に、診断士専用の補助金・給付金申請用インフラを提供した上で、実質的な中小企業に対する一次窓口の役割を独占業務として与えるという内容です。

提案しているスキームのポイント

  • スピード感のある対策・支援には、支援する側の負荷分散とData化&IT活用が必須
  • 中小企業診断士が経産省の一次窓口を代行して、企業側のアナログ・書面情報をData化
  • 診断士専用の申請用インフラを経産省が準備する際、既存のミラサポ等インフラも活用可能
  • 経産省は対企業の一次対応を代行した診断士に対して一定の代行手数料を支給し、これが実質的な診断士の独占業務となる(例:オンライン申請は診断士経由のみとする)

例えば、診断士専用の補助金・給付金オンライン申請用インフラが整備されれば、経産省が登録者を管理している診断士資格登録者に対して、中小企業の支援を要請することも可能です。診断士のみがアカウントを所有できるITインフラを整備することにより、コロナ禍のみならず、様々な中小企業支援策に対して、補助金・給付金・融資など一次対応を一斉に依頼する仕組みが作れます。

本提案には、議論や改善の余地はあるかもしれません。しかしながら、今回のコロナ禍のように中小企業に致命的なダメージを与える恐れがある災害や不況に備え、今こそ中小企業診断士の実質的な独占業務を規定し、中小企業と中小企業診断士の連携が全国規模で推進されるような大きな転換が必要ではないでしょうか。

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