機能別戦略の立案と実現

各組織の構成や役割は企業により様々ですが、一般的には組織ごとに機能が割り当てられています。例えば、ある会社が単一の事業を行っている場合、会社全体として決定した事業の戦略を事業戦略と呼ぶとすれば、その事業戦略を実現する為に各組織(工場・営業・アフターサービス・経理・人事等)毎に取るべき戦略を機能別戦略と呼びます。「主力製品の金額ベースでのシェアを5%向上させる」という”事業戦略”が掲げられたとしたら、それを受けて営業部門が「(シェア向上のために)売上金額上位3社以外の企業への販売促進活動を強化する」という”機能別戦略”を掲げて部門内でアクションアイテムや行動計画を立てるという流れです。
 
 
機能別戦略を立案する際の注意点
機能別戦略は機能組織別に立案・実現される為、各組織に対して裁量や権限が与えられることになります。戦略を立案する以上は、その戦略に実現性が伴わなければ「絵に描いた餅」になるので、戦略自体が実現性を持つことは非常に重要ですが、現実には各組織が設定した機能別戦略が「絵に描いた餅」であるケースも多く存在するのではないかと思います。例えば、機能別戦略を立案する上での制約条件や前提条件を考慮できていない場合などには実現性が低下するリスクが生じます。前述の営業部門が掲げた「(シェア向上のために)売上金額上位3社以外の企業への販売促進活動を強化する」を例に取ると、新たな販売促進活動に必要な予算が全く確保できていない、対応できる要員増加が見込めない、製品の販売数量が限られており安易に販売促進活動を展開できないというような前提条件や制約条件が存在すると実現性は著しく低下します。特に、リソース(人・モノ・カネ・情報)に関する制約条件は思い切った機能別戦略であるほど全社的視点でなければコントロールできず、各機能組織単体ではなかなか調整ができない部分です。
 
もう一つ、機能別戦略の実現性を阻害する状況としては、実態と理想とのかい離があまりにも大きいケースが挙げられます。トップダウンで経営層から降りてくる「理想」サイドの事業戦略をもとに、企業の中間層(ミドルクラスの管理職)が機能別戦略を立案する際、「実態」サイドに近い、自身の部下の意見や現場のリアルな情報をどの程度取り入れて戦略を検討するかにより、機能別戦略の実現性は大きく異なります。
 
以上より、機能別戦略を立案する際には、実現性を担保する為に「①リソースを中心とした戦略立案上の制約条件・前提条件を把握すること」、「②実態や現実を直接把握している従業員や現場の情報を考慮して戦略を立案すること」が大切だと考えています。
 
機能別戦略の例


 
機能別戦略実現のコツはすべて「コミュニケーション」に帰着
実際の企業は、リソースの制約条件だらけではないでしょうか。特に経営面で課題を抱えている時ほど、予算も人も何もかもが厳しい。そのような中にあって、先に示したように前提条件や制約条件を把握してみると、実は「実現できそうな戦略が立案できない」という結論になる状況も多いと思います。しかし、もし予算や人を他の部門から分けてもらえたら、またその予算確保を経営者に調整してもらえたら…というように、前提条件や制約条件を緩和させることができれば実現性を広げることは可能です。そして、その為には必ず組織や立場を超えたコミュニケーションや調整作業が発生し、また、自身の部下の意見や現場のリアルな情報を的確に把握する際にも、密なコミュニケーションが必要とされます。つまり、企業を構成する人々のコミュニケーションがレベルが高い企業ほど、戦略の実現性が高くなるということになります。
 
 

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