企業内診断士としての働き方

 中小企業診断士の受験者の特徴の一つとして、自己啓発を目的として受験を決めた方が多いという点が挙げられます。自分自身もその一人であり、企業に属して働く中で感じた課題や自身の限界をきっかけに、自己啓発を目的として中小企業診断士の受験を決めました。取得・登録を終えた現在も、同じ会社で継続して働いています。

 おそらくはかなりの割合で、同様の状況の方々がいらっしゃると思いますが、そのような経緯で中小企業診断士となった方々は、独立等をきっかけとした退職や起業をしない限りは、いわゆる”企業内診断士”として働きながら、中小企業診断士という資格と向き合っていくことになります。( ここでは、『独立等をせずに、企業に勤務している中小企業診断士』のことを”企業内診断士”と呼ぶことにしています。)

  

 企業内診断士と言っても、所属する企業における本人の業務内容が、金融機関の中小企業支援担当やコンサルティングなどの場合であれば、中小企業診断士というステータスや経験・ノウハウを業務に活かしやすいのではないかと思います。それに比べて、例えば経理やITなどの各専門分野での業務を本業としている企業内診断士にとっては、診断士として登録を終えたとしても、直ちに業務内容が変わることもなければ、経営の意思決定に直結する業務を担当する機会が急に得られるようになるわけでもありません。これは、所属する企業が大きければ大きいほど非常に顕著です。

 そのような場面に直面すると、改めて資格の意味を考え直したり、「本業の経験と中小企業診断士の経験の両輪を今後どのように回していけばよいのか」という悩みを抱えたりしがちです。このような悩みを解消していく上での一つの参考として、今回は、自身の経験をもとに企業内診断士としての働き方を少し考えてみました。

  

  

企業内診断士としての働き方①:学んだ思考プロセス・姿勢を活かす
 中小企業診断士の資格取得のプロセスで学んだ知識がそのまま活かせる場面が少ないとしても、ロジカルシンキングやフレームワークなどを応用した結論を導き出す際の思考方法は非常に役に立ちます。

 また、ノウハウだけでなく、実務補習などを通じて実感した診断士としての姿勢も重要だと考えています。例えば、提案型であり続けるという姿勢などは、どのような企業であっても、経営層に近い方々との会話をする上では必要な姿勢ではないでしょうか。

  

企業内診断士としての働き方②:プロジェクトマネジメントを担当する
 どのような大きさの企業であっても、大小さまざまなプロジェクトが存在します。プロジェクトの例としては、新しい人事管理システムの立ち上げ、新たな取引先の選定、原因不明の技術課題の解決 etc…。もともと、中小企業診断士には、各専門分野の専門家との関係性を上手くコーディネートしながら、企業が抱える様々な課題を解決するという役割があります。この役割を踏まえると、プロジェクトをひとつの中小企業として疑似的にとらえて、全体をコーディネートする立場に立つことで、実際の中小企業診断やコンサルティングの場面に近い役割を得ながら、知識や経験を活かせる可能性が広がります。

    

企業内診断士としての働き方③:中小企業と自社・自部門を比較する
 事業計画の出来栄え、人事制度やキャッシュフロー、予算規模など、実務補習を終えた時点で、ある程度中小企業が一般的にどのような規模でどのような課題を抱えているかが少し見えるようになります。これは一つの企業経営上のリファレンスとなるデータベースとも言えるので、この定性的・定量的な情報と、自分が所属するプロジェクトや部門、企業などを比較する中から、問題点や強み・弱みを知ることは有効なアプローチの一つだと感じています。

Monument Valley

  

 これらの働き方を継続したとしても、もちろん、待遇の改善や昇進が直ちに望めるものではないのですが、より長い目でこの資格と向き合い、資格取得前よりも質の良い経験を積み続けるきっかけとしては、どれも非常に有効な働き方になると思います。

  

  

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