パラレルキャリア *前編

近年、政府による副業・兼業の推進についての議論が活発化しています。企業が就業規則を定める際に参考にする「モデル就業規則」(厚生労働省)から副業・兼業禁止規定を無くして「原則禁止」から「原則容認」に転換する等、具体的な対応も示されています。企業に勤める会社員の働き方の多様性が認められる事になるので、個人的には非常に良い傾向だと考えています。
 
 
副業・兼業の推進で変わる会社と社員の関係
副業・兼業が認められることが一般化することにより、会社と社員の関係も少しずつ変化するはずです。例えば、副業・兼業を行う社員が増えれば、その社員が主として勤務する会社への収入面での依存度は必然的に下がることになります。良くも悪くも、会社としては、社員に対する義務や責任は以前よりも少なくなり、社員としては自由と引き換えに個人の自己責任の範囲が広がることになるのではないでしょうか。このことから、会社と社員の関係は、これまで以上にドライで流動的な関係になると予想されます。
 
 
多様化するキャリアの積み方
キャリアアップは、通常一社もしくは複数社での経験を通じて行いますが、常に一社にしか所属していない状態を繋ぎ合わせたシリアル・キャリアパス(直列のキャリア経路)が基本です。ところが今後副業・兼業を行うことが一般化すると、同時期に二社、もしくは複数の仕事を経験することができるので、パラレル・キャリアパス(並列のキャリア経路)を経てキャリアアップすることが可能になります。
 
スノーボードとスキー(板)を用いてイメージを示すと、従来のキャリアアップは自身の両足をいずれも一つのスノーボード(=会社)に乗せる「スノーボード型」であるのに対して、副業・兼業を活用したキャリアアップは、右足と左足に異なるスキー板(=会社)を装着して滑る「スキー型」と言えます。「スノーボード型」も「スキー型」もメリット・デメリットがあるので、一概にどちらが正しいキャリアパスであるとは言えません。ただ、時期や生活環境による制約を考慮しながら、ある時は「スノーボード型」、ある時は「スキー型」という選択も可能になるので、今後キャリアパスは幅広い選択肢を持つことになるはずです。
 
シリアルキャリアパスとパラレルキャリアパス


 
 
パラレルキャリアという選択肢
スノーボード型でキャリアアップを考える場合、新しいスノーボードに乗り換える(=転職)か、現在のスノーボードのままで(=今の会社のままで)上手く滑る為の技術を磨くしかありません。これはこれで現実的なキャリアパスですが、今後は「スキー型」であるパラレルキャリアパスも重要な選択肢になると思います。ただ、注意しなければならないのは、政府や企業が副業・兼業を認めたとしても、それはあくまでもスキー型で滑ることの許可が得られただけにすぎず、スキーに履き替えても”うまく滑ることができる”保証はありません。主となる勤務先での業務と、副業・兼業の為の業務の、つまり二枚の板のバランスをとる訓練と練習が必要です。
 
(後編に続く)
 
 

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